3日目/2003年6月30日(月) 天気は今日も晴れ (その1)




 昨夜あまりに早く寝てしまったので、朝4時ごろ目が覚めてしまいました。やれやれ、もうひと眠り。それでも5時頃には少し明るくなりはじめ小鳥の鳴き声も聞こえてきます。異常気象でなんだか暑く感じ窓を少し開けていたので、近くを流れるマッターフィスパ川の川音がよく聞こえていました。すっかり目が覚めたので今日も朝の散歩といきますか(朝寝坊の私にとって普段はとても考えられないことです)。そうそう、天気も良さそうなのでマッターホルンがきれいに見えるかも。カメラも持って行こう。5時半ごろ一人で宿を出て橋まで行くと、日本人の方ばかり10名ほどの人が明るくなった空にそびえたつマッターホルンを眺めていました。同じツアーの大津から来られたご主人もおられ、「ちょうど上の方に朝日があたってきれいですよ」の声に山を見ると、雲ひとつなくくっきり姿を現わしたマッターホルンの頂上から下に向かって、時間とともにどんどんピンク色が広がって行くではありませんか。「これが新田次郎さんも書いていたモルゲン・ロートというもんやな」。高い山に行ったことのない私にはこんな光景ははじめてで、さっそくカメラを構えてパチパチ。やっぱり早起きは三文の得ですね。
 しかしそれにしても寒い!半袖シャツで出かけてきた私は思わず身震い。ほかの皆さんはちゃんと上着を羽織っています。さすがに標高1600mのツェルマットですが、せっかくなので村の中をひとめぐり。まだまだ行き交う人は多くありませんが、そのほとんどは日本人でした。昨夜といい、今朝といい、我が日本人は実にマメな人種です(私もその一人!)。しゃれたホテルやレストランの間を少し入ると古い木造の穀物倉庫のような建物がずらり。そしてこんなところにも花が飾られています。スイス人っていうのはよほど花が好きなのか、それとも法律かなんかで義務づけられているのでしょうか。とにかく至る所に手入れの行き届いた花があふれ(そういえば昨日見た墓地にもたくさんの花がありました)、それはこのあと訪ねた場所すべてに共通しています。
 1時間ほどでホテルに戻り、昨日と同様リュックに防寒具や水を用意した後、階下の食堂で朝食をいただきました。ここのチーズは匂いがきつくあまり口に合いませんでしたが、それ以外は果物などもあり満腹です。その後、みんなで今日の目的地ゴルナーグラート展望台へ登るGCB登山鉄道の駅まで歩き、ひげづらの若い日本人ハイキングガイドの櫛部さんと合流して、発車の時刻までしばらく待機。彼は、夏はツェルマット、冬はニュージーランドでガイドをしているそうでなんとも優雅な生活です。ほどなく列車に乗り込みいよいよ出発。マッターホルンはロープウェイ乗り場を過ぎたあたりから森を抜けるまでの少しの間隠れているだけで、常に私たちの視界の中に見えています。フィンデルバッハ、リッフェルアルプ、リッフェルベルクと少しずつ高度が上がっていきますが、左右に広がる牧草地は果てしなくつづき、その中を色とりどりの服を着たハイカーが歩いています。ローテンボーデンを過ぎたあたりから周囲の風景は岩場の多いごつごつした感じに。約40分で終点ゴルナ−グラ−ト駅へ到着しました。さらに坂道を少し上がったところに展望台があります。
 私たちは展望台のすぐ下でみんな揃って記念撮影。ハイジに出てくるあのセントバーナード犬が2頭、撮影用に待機していて、カメラマンの方が正面を向かせようと一生懸命声をかけていますが、そんなこと犬はどこ吹く風です。なんとかそれぞれ犬と一緒の写真を撮り終えて、展望台へ上がりました。気温は5度、風もなく気持ちのいい快晴です。マッターホルンはここから見ると4面のうち東の壁がちょうど正面に見え、山の形が少し変わります。写真によくある(村から見えた)のは、左半分が東壁で右半分が有名な北壁の形。ちなみに東壁と北壁を分けるナイフのように鋭い稜線はヘルンリ稜と呼ばれマッターホルンへ登る一般ルートなんだそうで、少し経験がある人なら日帰りで登ってくるとか。信じられません!また、四角錐の頂点が少し東壁に傾いたことが、マッターホルンをかえって美しいと思わせているようで、展望台から見る山は「登れるものなら登ってみろ」とでも言っているような迫力がありました。360度視界が開け、ガイドさんが展望台を取り巻くたくさんの山の名前を次々と説明。メモした順にマッターホルンから右手へ、ダンブランシュ、オーバーガーホルン、チナールロートホルン、ヴァイスホルン、谷をはさんでグリンデルワルド方向に見えるのは、ドーム、テーシュホルン、アルプフーベル、アラリンホルン、リンプフィッシュホルン、さらにゴルナ−氷河の右手にこのあたりの最高峰、猫の耳のような形をしたモンテローザ4634m、リスカム、カストール、ポリックス、ブライトホルンと4000m級の山々がまさにパノラマのよう。言葉や映像ではとても伝えきれない感動でした。
 10:19発の列車でローテンボーデン駅まで乗り下車、そこからひとつ下のリッフェルベルクまでガイドさんの案内でハイキングです。お天気はいいし花もたくさん咲いていてもう最高!少し歩いたところの大小二つのリッフェル湖は逆さマッターホルンで有名な小さな湖ですが、風が出て湖面が波立ち残念ながら見えません。湖のすぐ脇のリッフェルホルンと呼ばれる小高い山は、マッターホルンに登りたい人が登山ガイドからテストを受ける山だそうで、マッターホルンには勝手に登れないそうです。こんな話や、白、黄色、ピンク、紫など色とりどりの高山植物の説明を聞きながら、1時間ほどのハイキングでリッフェルベルクに到着しました。今日はここで解散で、その後は自由行動です。私たちは近くの草むらで配られたお弁当を食べることに。袋を開けてみると、何とおにぎりが3個、りんご、キャンデーとミネラルウォーターが入っていました。少し風が強くなり雲も出てきましたが、すばらしい景色を眺めながらの食事は格別のものがありました。


朝日でバラ色に染まる
マッターホルン

ゴルナーグラート展望台


村内には古い穀物倉庫が残る

登山鉄道で展望台へ向かう

ゴルナー氷河(手前)と
ブライトホルン(右端)

ハイキングガイドの櫛部さんと

ゴルナーグラート展望台より

GCB登山鉄道

ハイキングの起点ローテンボーデン

リッフェルベルクまでハイキング

リッフェル湖とマッターホルン

いたるところにかわいい花が

アルプスの峰々を眺めながら歩く

リッフェルベルクに到着



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